研究成果の紹介
越智陽城特任助教が日本財団から平成21年度笹川研究助成を受賞しました
GCOE発生ゲノミクス研究グループの越智陽城特任助教が、稲盛財団の平成21年度自然科学究助成対象者に選ばれました。稲盛財団の研究助成は、自然科学、人文・社会科学分野で活躍する40歳以下の研究者を対象とするものです。
助成受託のコメント
この度は稲盛財団 自然科学研究助成を賜りまして、誠に光栄に存じます。採択された研究プロジェクトは、平成20年1月にGCOEの荻野肇特別研究グループに着任した後に始めたものです。GCOEの支援をいただき進めてきた新しい研究プロジェクトの芽に対して、学外から評価され支援していただけることを大変うれしく思っております。今後はより一層の努力を重ね、このプロジェクトを発展させるよう研究に取り組んでいきたいと思います。
助成受託研究テーマ
水中から陸上へ - Pax2遺伝子のシス調節配列の進化による中耳の獲得メカニズムの研究
サカナが水中の音を内耳と側線を用いてとらえるのに対し、両生類や哺乳類などの四肢動物は空気中で音をとらえられるよう中耳(鼓膜及び耳小骨)を発達させている。本研究は進化における中耳獲得のメカニズムを、耳の形成に必須のPax2遺伝子のサカナと四肢動物間での耳の原基における発現の差と、ゲノム構造-遺伝子発現調節領域-の違いに注目して解明するものである。我々は哺乳類、カエル、サカナのゲノム配列の比較解析から、哺乳類とカエルのPax2遺伝子座の周辺500kbp領域にはサカナには存在しない非コード領域が50カ所ほど保存されていることを発見している。これらの保存非コード領域は、四肢動物に特異的なPax2の発現を担うシス調節配列(エンハンサー)である可能性が高い。本研究では比較ゲノミクス解析に基づき、エンハンサーの進化と新しい形質の獲得との直接的な関係をカエルとサカナのトランスジェニックシステムを用いて実験的に検証する。
関連する論文
- Ogino, H.et al. (2006) High-throughput transgenesis in Xenopus using I-SceI meganuclease. Nature Protocol 1: 1703-1710.
(2009年06月15日掲載)