研究成果の紹介
越智陽城特任助教が稲盛財団から平成21年度自然科学系研究助成を受賞しました
GCOE発生ゲノミクス研究グループの越智陽城特任助教が、日本財団の平成21年度笹川研究助成の対象者に選ばれました。笹川研究助成は35歳以下の任期付雇用研究者として研究活動に従事する35歳以下の研究者を対象としたものです。
助成受託のコメント
この度は日本財団 笹川研究助成を賜りまして、誠に光栄に存じます。採択された研究プロジェクトは、平成20年1月にGCOEの荻野肇特別研究グループに着任した後に始めたものです。GCOEの支援をいただき進めてきた新しい研究プロジェクトの芽に対して、学外から評価され支援していただけることを大変うれしく思っております。今後はより一層の努力を重ね、このプロジェクトを発展させるよう研究に取り組んでいきたいと思います。
助成受託研究テーマ
多発性嚢胞腎症の原因遺伝子PKDによるPax2遺伝子の発現調節機構の解明
多発性嚢胞腎(polycystic kidney disease:PKD)は、中年期以降に腎の尿細管が嚢胞状の拡張病変を形成し腎不全を引き起こす進行性遺伝疾患である。我が国には現在10万-20万人の患者が存在するが、超高齢化社会の進行に伴ってその数が増大することは確実である。これまでにPKDは膜タンパク質をコードするふたつの遺伝子、PKD1あるいは PKD2の異常によること、そして転写因子Pax2の病変への蓄積を伴うことが示されている。それゆえ、正常な腎では膜蛋白質PKDからのシグナルによってPax2の発現は抑制されており、この抑制シグナルに異常があるとPax2の過剰発現がおこりPKDを発症すると考えられている。しかしながらPKDシグナルがいかにしてPax2を抑制するのか、そのメカニズムは未だ不明なままである。本研究ではこの問題を解決するため、近年申請者らの研究グループが立ち上げたカエルの高効率トランスジェニック作製技術を用いたPax2遺伝子の発現制御領域の解析からその発症の分子機序を解明することを目指す。
(2009年06月15日掲載)