研究成果の紹介
バイオサイエンス研究科植物分子遺伝学研究室の辻寛之助教が第120回日本育種学会において優秀発表賞を受賞
バイオサイエンス研究科植物分子遺伝学研究室の辻寛之助教が第120回日本育種学会において優秀発表賞を受賞しました。本賞は、日本育種学会講演会の全発表の中から学会長の任命による投票員の投票によって選定され、特に優秀な発表に授与されるものです。
受賞のコメント
今回の受賞は、研究室スタッフの島本功教授、田岡健一郎助教をはじめ研究室のポスドク、学生、技術職員の皆様の協力のおかげであり深く感謝しております。
特に、大学院生の中島千佳さんはまだ誰も成功していなかった最先端の実験にチャレンジしてすばらしい成果を上げてくれました。イメージング技術を熱心に指導いただいた植物グローバル教育プロジェクトの稲田のりこ先生にも深く感謝しております。
受賞時の発表内容
植物が花を咲かせるための決定的な分子「フロリゲン」について、その機能の本体となるタンパク質複合体の存在を明らかにしました。
「フロリゲン」Hd3aタンパク質は葉で合成された後、実際に花のつく茎の先端まで移動して花芽形成を開始させます。しかし茎の先端で花を咲かせる仕組みは分かっていませんでした。私たちはHd3aが茎頂の細胞に到達後、まず細胞質で14-3-3と呼ばれるタンパク質と結合し、さらにHd3a-14-3-3複合体が核移行することを明らかにしました。さらに核内でDNA結合タンパク質OsFD1と結合し、Hd3a-14-3-3-OsFD1からなる転写活性化複合体Florigen Activation Complex(FAC)を形成することを突き止めました。Hd3aが花を咲かせるためにはこの複合体形成が必須であることも明らかにしました。
(2011年12月08日掲載)