NAIST 奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域

研究成果の紹介

バイオサイエンス研究科分子神経分化制御研究室の波平昌一助教が公益財団法人大阪癌研究会平成23年度一般学術研究助成の対象者に選ばれました

 バイオサイエンス研究科分子神経分化制御研究室の波平昌一助教が公益財団法人大阪癌研究会の平成23年度一般科学技術研究助成の対象者に選ばれました。本助成は、癌の予防・診断及び治療に関する研究の促進を図り、癌医療の進歩普及に貢献することを目的とし、悪性腫瘍の診断と治療に関する基礎的並びに臨床的研究を助成の対象としています。

助成受託コメント

  この度、公益財団法人大阪癌研究会からの一般学術研究助成を頂くことになり、大変感謝いたします。この助成金を有効に活用し、癌医療の進歩普及に微力ながらも貢献したいと思います。


助成受託研究テーマ

神経幹細胞特異的DNAメチル化制御破綻マウスを用いたグリオーマ発症の分子基盤解明

 再発症率が非常に高く、根治が難しい神経膠腫(しんけいこうしゅ、グリオーマ)は、脳の神経細胞(ニューロン)の機能を支持するアストロサイトやオリゴデンドロサイトといったグリア細胞の発生異常や異常増殖によって引き起こされる。それらのグリア細胞は、ニューロンと同じく神経幹細胞を起源とし、胎生後期から生後にかけて産生される。最近、哺乳類のエピジェネティクス制御機構の一つであるDNAメチル化が、グリオーマ発症に関与する可能性が指摘されているが、未だそれを直接的に証明した報告は無い。そこで本研究は、悪性脳腫瘍、特にグリオーマに焦点を当て、その発症とDNAメチル化との関連を明らかにすることを目指す。この解明に向け、本研究では独創的に、グリオーマの起源とされている胎生後期神経幹細胞脳特異的に、DNAメチル化制御機構と腫瘍化抑制機構の破綻を誘導できる、新規遺伝子改変マウスを用いる。これにより、生体内で直接的にグリオーマ発症の分子メカニズムの解明が可能となる。これにより、DNAメチル化制御機構の破綻とグリオーマ発症との関連と、癌抑制遺伝子による腫瘍化抑制経路とDNAメチル化制御機構の相互作用を解明することが本研究課題の目的である。

(2011年12月08日掲載)

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