研究成果の紹介
バイオサイエンス研究科元教授で前学長の磯貝 彰先生が平成27年秋の瑞宝重光章を受章
バイオサイエンス研究科元教授で前学長の磯貝 彰先生が平成27年秋の瑞宝重光章を受章されました。
本研究科細胞間情報学研究室の初代教授で、平成21年4月~平成25年3月まで学長として本学の管理運営と発展にご尽力下さった磯貝 彰先生の、2015年度秋の瑞宝重光のご受章が決まりました。伝達式は、11月5日に皇居において執り行われる予定です。
先生のご受章を心からお慶びし、ご業績を紹介します。
磯貝 彰先生は、生物有機化学を専門とし、生命現象を制御する生理活性物質を単離・構造解明し、その物質を手がかりに生命現象を明らかにするという立場から研究に取り組まれ、数多くの業績を残してこられました。先生が明らかにされた生理活性物質の中には、新たな研究領域開拓の基盤となったものも数多く、特に「植物の自家不和合性」の研究で最も高い評価を得ておられます。まず、アブラナ科植物を対象にその分子機構の解明に取り組まれ、自他識別反応を司る雌ずい因子及び花粉因子の実体を世界に先駆けて解明されました。さらに、両因子を手掛かりに本現象の本質に迫り、この特異な生物現象の根幹的な仕組みを分子レベルで解明することに成功されました。これらの成果は、単に自家不和合性の分子機構の解明に止まらず、植物が如何にして自己や異物を認識しているのか、植物細胞が如何にして外部情報を捉え、細胞内に伝え処理しているのか、といった植物科学における基礎的課題の解明に直結するものとして世界的に高く評価されています。また、自家不和合性は高品質なF1ハイブリッド品種の生産に利用されていますが、先生のご業績は、この育種法の適用範囲をさらに広げる可能性を示すものとして、応用面からも注目を集めています。
バイオサイエンス研究科長
箱嶋 敏雄
(2015年11月04日掲載)