NAIST 奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域

研究成果の紹介

バイオサイエンス研究科神経機能科学研究室の河田美穂さん(博士後期課程3年)が「第57回日本神経化学会大会」において「神経化学教育セッション優秀発表賞」を受賞

 バイオサイエンス研究科神経機能科学研究室の河田美穂さん(博士後期課程3年)が「第57回日本神経化学会大会」において「神経化学教育セッション優秀発表賞」を受賞しました。

受賞コメント

 この度、第57回日本神経化学会大会におきまして、神経化学教育セッション優秀発表賞を受賞することができ、大変光栄に思います。この賞を頂けたのは、日頃から研究を支えて頂いている塩坂貞夫教授、田村英紀講師(現:星薬科大学)、中澤瞳助教をはじめ、神経機能科学研究室の先輩、後輩、スタッフの方々のご協力のお陰であり、この場を借りて深く御礼申し上げます。また、英語プレゼンテーションに関してご助言頂きましたPaul McAleese先生にも感謝申し上げます。今回の受賞を励みに、日本の科学技術の更なる発展に貢献できるよう精進して参ります。

受賞時の発表内容

「ニューロプシンによる抑制性神経ネットワークの活動依存的な制御機構」

 ヒトの高次脳機能は、神経細胞を興奮させる興奮性細胞と興奮を抑える抑制性細胞の活動の絶妙なバランスの上に成り立っております。近年、この神経ネットワークのバランスの乱れ、特に抑制性細胞の活動異常が、統合失調症や自閉症などを引き起こす原因であることが示唆され始めています。
 我々は最近、記憶に関連する細胞外プロテアーゼ・ニューロプシンが統合失調症脆弱因子Neuregulin-1(以下、NRG-1)を切断し、抑制性細胞に局在しているNRG-1の受容体の活性化を誘導することで、抑制性細胞の活動を制御していることを明らかにしました1)。しかしながら、ニューロプシンと認知機能との関連性はいまだ明らかとなっておりません。そこで本研究では、てんかん誘発剤であるカイニン酸をマウスに投与し、神経活動亢進後のマウス海馬におけるニューロプシンの生理的役割と認知機能への関与を調べ、報告いたしました。

関連資料

  1. Tamura H, Kawata M, Hamaguchi S, Ishikawa Y, and Shiosaka S.:Processing of neuregulin-1 by neuropsin regulates GABAergic neuron to control neural plasticity of mouse hippocampus. J Neurosci. (2012)

(2014年10月21日掲載)

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