セミナー情報
斑(ふ)入り葉(よう)のセクター間における異なる遺伝子発現様式の意義
演題 | 斑(ふ)入り葉(よう)のセクター間における異なる遺伝子発現様式の意義 |
講演者 | 三浦 栄子 博士 (岡山大学資源生物科学研究所) |
使用言語 | |
日時 | 2010年2月3日(水曜日) 16:00~ |
場所 | バイオサイエンス研究科 L13 会議室 |
内容 | 葉の斑入りは正常な葉緑体を含む緑色セクターと未発達なプラスチドをもつ白色セクターからなり1)、その多くは核の単一劣性変異により生じる。すなわち全ての細胞が同じ遺伝子型を持つにも関わらず、緑色/白色セクターの葉緑体への分化程度は異なる表現型であるといえる。このため斑入りメカニズムの解明は、葉緑体分化機構を研究するためのツールとして注目されている2) 本研究では斑入りの生理学的なプロファイルをさらに理解するために、チラコイド膜に存在するFtsH2メタロプロテアーゼを欠損し斑入りを示す var2変異体を用いてマイクロアレイ解析をおこなった。遺伝子発現を解析した結果、緑色セクターでは光化学系II の修復サイクルの機能低下に起因すると考えられる高濃度の活性酸素種(ROS)が蓄積しているにも関わらず3)、既知のROSシグナリング経路の活性化は認められず、一方で、白色セクター特異的に酸化ストレス応答遺伝子の発現が上昇しているという知見が得られた。その他に、多くの葉緑体関連遺伝子の発現の差異が認められたので、今回のセミナーでは、遺伝子発現様式から見た斑入りの生理学的特徴を議論したい4)。
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問合せ先 | 分化形態形成学 明石 欣也 (akashi@bs.naist.jp) |