ミヤコグサをモデルとした植物の環境適応機構の解明
- 演題
- ミヤコグサをモデルとした植物の環境適応機構の解明
- 講演者
- 若林 智美 博士 (バイオサイエンス領域 バイオエンジニアリング研究室 助教)
- 使用言語
- 日本語
- 日時
- 2026年6月5日(金曜日) 13:30~14:15
- 場所
- C109
- 内容
移動能力を持たない植物は、自生地環境に応じた自然選択を強く受ける。 日本列島のような多様な環境に広く分布する生物は、各地の環境に適応し、 種内に表現型や遺伝子型多型を持つ。適応進化プロセスの解明は、進化 生物学や多様性生物学の重要課題であるが、環境要因に加え、遺伝要因 や自然選択を統合して包括的に解析した研究例は限られる。 私はマメ科のモデル植物ミヤコグサを対象に集団ゲノミクス、分子生物学 、進化生物学的解析を用いて研究を行ってきた。本種は日本列島に広く分 布し、様々な形質の表現型多型を持つ。まず、集団ゲノミクス解析により日 本列島における分布拡大史を推定し、現在の種内多様性形成の基盤を示 した(参考論文1)。さらに、繁殖成功に関わる形質に着目し、環境要因、遺 伝要因、自然選択の観点から解析を行っている。開花時期に着目した研究 では、異なる日長条件下での表現型多型の解析から、本種の開花時期に よる適応に日長応答が重要であることを示し、全ゲノム関連解析により遺 伝要因を検出した(参考論文2)。候補遺伝子のいくつかについては、実験 的検証により表現型への影響が示唆された。本発表では、適応に関連する 形質として地上部形態や高温応答に着目した成果と合わせて、本種の環 境適応プロセスについて議論し、今後の展望も紹介する。
- 問合せ先
- 植物代謝制御研究室
出村 拓 (demura@bs.naist.jp)
奈良先端科学技術大学院大学