セミナー情報
網膜色素上皮細胞における機械刺激誘導性の血管新生の分子メカニズム
演題 | 網膜色素上皮細胞における機械刺激誘導性の血管新生の分子メカニズム |
講演者 | 芦森 温茂 博士 (山口大学 大学院医学系研究科 眼科学講座 ) |
使用言語 | 日本語 |
日時 | 2024年11月14日(木曜日) 16:00~17:00 |
場所 | L12 |
内容 | 加齢黄斑変性 (AMD) は、眼内での過剰な新生血管が網膜の立体構造を乱すことにより、視野の歪みや視野欠失をきたす疾患であり、失明原因の第4位となっている。AMDの前駆病変のとして、網膜色素上皮 (RPE) 基底部でのドルーゼン形成が挙げられる。ドルーゼン内に含まれる脂質などRPEからの老廃物は、慢性炎症および過剰な血管新生を引き起こすと考えられている。一方で、ドルーゼンの内容物には個体・環境差が大きいことが指摘され、内容物以外にも、ドルーゼンの形成自体がAMD進行に影響を与える可能性が指摘されている。近年、ドルーゼン形成に伴うRPEへの機械的刺激が、血管新生を誘導することが複数の研究グループにより報告されたものの、その分子メカニズムは明らかにされてこなかった。本研究では、RPEに対する機械刺激の影響をin vitro及びin vivoのアプローチから観察し、RPEへの機械的刺激がVEGF-AやANG-2などの血管新生関連因子の発現を亢進させ、それらの発現亢進にはHIF-1αが関与していることが示された。また、機械刺激によるHIF-1αの活性化は、SRC/p38の経路が関与していることが示唆された。さらに、マウス眼におけるHIF-1αの阻害は、機械刺激誘導性の血管新生関連因子の亢進を抑制した。これらの結果は、新しい視点からのAMD病態解明に貢献し、AMD治療法の確立につながると考えられる。本セミナーでは、これらの研究内容に加え、治療法確立における現状の課題についても紹介したい。 |
問合せ先 | 遺伝子発現制御 別所康全 (ybessho@bs.naist.jp) |