NAIST 奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域

セミナー情報

細胞の時空間動態から紐解く植物の根の発生・成長機構

演題 細胞の時空間動態から紐解く植物の根の発生・成長機構
講演者 郷 達明 博士 (バイオサイエンス領域 植物発生シグナル研究室 助教)
使用言語 日本語
日時 2024年11月13日(水曜日) 10:00~10:45
場所 オンライン開催
内容

植物は胚発生後にも器官新生しながら、動的かつ可塑的に成長を続けるという特有の発生様式を示す。この発生様式により、植物は自身の形態を柔軟に変化させて、環境の変化に適応する。植物の優れた環境適応力を支
える動的な発生様式を理解するためには、発生や成長の過程を個々の細胞レベルで精密に捉え、その動態を遺伝子の機能や発現パターンと結びつけて解析することが重要である。我々は、シロイヌナズナの根の成長および
器官形成を、数日間に渡って経時観察する手法を確立し、時空間特異的に緻密に制御された細胞動態が根の生理機能や形態発現の基盤となることを明らかにしてきた。植物の根の先端を覆う根冠組織では、発生的にプロ
グラムされたオートファジーにより、根冠最外層の細胞内構造が劇的に再構成されることで、根冠の細胞剥離が精密に制御されることを見出した(1)。
また、深層学習を駆使した4D細胞動態計測により、根端の細胞がいつ、どのように分裂し、伸長することで根の成長を駆動するのかを初めて明らかにした(2)。本講演では、これまでの成果を紹介するとともに、発生および成長機構を基盤とする植物の環境適応機構の解明に向けた研究についても議論したい。

問合せ先 遺伝子発現制御
別所 康全 (ybessho@bs.naist.jp)

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