NAIST 奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域

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【中止】一葉植物モノフィレアの特異な発生様式を支える分子機構

演題 【中止】一葉植物モノフィレアの特異な発生様式を支える分子機構
講演者 木下 綾華 博士 (酒類総合研究所 研究員)
使用言語 日本語
日時 2024年10月4日(金曜日) 10:30~11:15
場所 C109 大セミナー室
内容

イワタバコ科のモノフィレア属の植物(モノフィレア)は「一葉植物」と呼ばれる。それは、発芽直後に同じ大きさだった2枚の子葉のうち、1枚のみが無限に成長し、栄養成長期に新しい器官を作らず、あたかも1枚の葉しか持っていないような姿になるためだ。この成長は、側性器官が有限成長しつつ新しい器官が無限につくられる典型的な種子植物とは対照的である。興味深いことに、同じイワタバコ科のストレプトカーパス属にも一葉植物が存在する。しかもこれら2つの属は系統的にやや離れているものの、発生様式は似ている。これらの一葉植物の独特な発生様式は150年以上にわたって植物学者の関心を集め、発生過程や組織構造が詳細に研究されてきた。そして、ストレプトカーパス属では、一葉植物やその関連種を用いて分子生物学的な研究が進められていたものの、モノフィレアについては、適用可能な実験手法が限られていることもあり、分子レベルでの研究は少なかった。そこで、モノフィレアの一種であるMonophyllaea glabraを用いて分子生物学的研究の基盤を整備し、その特殊な発生様式を支える分子機構の解明を目指した。まず、典型的な植物の発生に関与する主要な遺伝子の発現パターンを調べた。加えて、植物ホルモンがどのように関与しているかを明らかにするために生理学的な実験も行なった。その結果、M. glabraの分裂組織が典型的な植物とは異なる遺伝子発現パターンを持つことが分かった。また、特異な分裂組織を支える分子機構がストレプトカーパス属のものとも異なることが示唆された。さらに、新たに確立した実験系と詳細な観察を元に、2枚の子葉の非対称な成長の運命決定に関わる分子機構を説明する新しいモデルを提案した。今後、このモデルの検証を通じて子葉の非対称な成長の背景となる具体的な分子機構を解明したい。

問合せ先 遺伝子発現制御研究室 
別所 康全 (ybessho@bs.naist.jp)

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