セミナー情報
生命情報科学の新展開:ゲノム物理生物学
演題 | 生命情報科学の新展開:ゲノム物理生物学 |
講演者 | 新海 創也 博士 (理化学研究所 生命機能科学研究センター 上級研究員) |
使用言語 | 日本語 |
日時 | 2024年7月16日(火曜日) 10:00~10:45 |
場所 | 大セミナー室(C109) |
内容 | 生きている細胞核内でゲノムDNAがどのような3次元構造を形成し、その動きがどのように遺伝子発現制御に関連しているのか、これは長年にわたる生命科学の基本的な問いです。従来の塩基配列情報に基づいた生命情報科学アプローチは、クロマチンの高分子としての物理的実体を考慮しておらず、このため限界が存在します。しかし、近年の顕微鏡技術やゲノミクス技術の進展により、クロマチンの物理的性質と動きを理解するための新しい手法が開発されています。私は、これらの進展を背景に、ゲノムDNAの物理的性質を基盤とした「ゲノム物理生物学」という新しい学問分野を提唱し、推進してきました。細胞内のミクロの世界では、全ての分子がブラウン運動のように動的に振る舞います。同様に、ヌクレオソーム繊維も核内でダイナミックな動態を示し、これを説明するための高分子物理モデルを構築してきました。最近では、Hi-C(ハイシー)法によるゲノム3次元構造データを基に、PHi-C(ファイシー)法という高分子モデリング・シミュレーション手法を開発し、生細胞内でのクロマチンの動態や転写の際の遺伝子周囲の3次元構造と動きを詳細に解析しています。 |
問合せ先 | 遺伝子発現制御 別所 康全 (ybessho@bs.naist.jp) |