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　植物は、自生地での環境変化に適応するための戦略のひとつとして、さまざまな植物特化(二次)代謝物を産生し、ストレスによる損傷を軽減していることが知られています。自然界における植物の特化代謝物は、約100万化合物程度あると概算されており、その化学構造は非常に多様です。さらに、近縁種間や同一種内においても、産生される物質が違うことや、ストレスに対する代謝応答性が異なることも報告されています。このような植物間の『代謝多型』とも呼べる代謝形質の違いは、ゲノム上の遺伝子重複や欠損などによる機能分化や配列の収斂性などによって生み出されていると考えられます。しかし、代謝多型に関連する原因遺伝子の特定や、物質の生理機能の解明を行うためには、植物種特異的な代謝を効率的に特定する研究手法の構築が必要です。本発表では、メタボロミクスを起点とした生合成経路の再構築と、植物種間比較ゲノミクスなどと統合解析することで行った、植物代謝の機能ゲノミクス研究について、私たちの研究成果の紹介とともに説明します。また、今後の研究の展望についても議論し、現在行っている研究についても紹介します。