セミナー情報
気候変動下における持続可能な作物生産のための根のデザイン︓第二の緑の革命を目指して
演題 | 気候変動下における持続可能な作物生産のための根のデザイン︓第二の緑の革命を目指して |
講演者 | 宇賀 優作 博士 (農業・食品産業技術総合研究機構 作物研究部門 作物デザイン研究領域 作物デザイン開発グループ グループ⻑) |
使用言語 | 日本語 |
日時 | 2023年7月20日(木曜日) 15:30~16:30 |
場所 | 大セミナー室(C109) |
内容 | 気候変動に起因した干ばつや高温などにより地球規模の農作物被害が頻発している。このような過酷な環境下で持続可能な作物生産を実現するには、環境ストレスに強い作物の開発が不可欠である。植物にとって根は、地中の養水分を獲得するうえで必須の器官であるとともに、ストレス応答にとって重要な器官である。したがって、環境ストレスに適応した根への改良は、持続的な作物生産にとって有効な手段と考えられる。しかし、根は地面の下に隠れているため、従来の表現型選抜に基づく育種法を利用することは困難である。
我々のグループは、これまでにイネの根伸⻑角度に関する量的形質遺伝子座(QTL)のDRO1を単離した。浅根型イネにDRO1の深根アリルを導入した系統は浅根の親品種よりも干ばつ回避能力が向上した。また、イネDRO1ホモログであるqSOR1を単離した。qSOR1の地表根形成アリルを導入したイネは塩害水田で減収を軽減できることを見出した。現在、これらの根系関連QTLの有用アリルを組み合わせることで、表現型選抜を必要としない遺伝子ベースのデザイン育種を我々は目指している。環境ストレス別に理想的な根系形態をデザインするためには、地面の下の根がどのようにストレスに応答し変化するのか、経時的に追う必要がある。そこで、我々はX線CTを用いた根系3次元非破壊計測プラットフォームを構築し、土中の根の可視化に取り組んでいる。本講演では、これら可視化技術についても紹介する予定である。
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問合せ先 | 植物発生シグナル 郷 達明 (goh@bs.naist.jp) |