成体脳における「自然/人為的な」ニューロン新生: メカニズムおよび神経疾患治療への応用
            - 演題
 - 成体脳における「自然/人為的な」ニューロン新生: メカニズムおよび神経疾患治療への応用
 - 講演者
 - 松田 泰斗 博士(九州大学大学院医学研究院 応用幹細胞医科学講座 統合的組織修復医学分野 助教)
 - 使用言語
 - 日本語
 - 日時
 - 2023年2月24日(金曜日) 15:30~16:30
 - 場所
 - 大セミナー室(C109)
 - 内容
 成体海馬に存在する神経幹細胞は、生涯にわたって新しいニューロンを産生し (ニューロン新生)、学習・記憶の維持に貢献している。ニューロン新生の変化は、てんかんなどの疾患と密接に関連しているため、神経幹細胞の挙動を制御する分子基盤の解明は重要である。また、傷害脳におけるニューロン新生は、失われたニューロンを補充し損傷を修復するために必要であるが、内在性神経幹細胞から誘導される「自然な」ニューロン新生だけでは、重度脳損傷後の完全な脳機能回復には不十分である。我々は最近、たった一つの転写因子NeuroD1の強制発現により、傷害脳の損傷部位に集積する免疫担当細胞ミクログリアを、機能的なニューロンに転換できることを明らかにした。この分化転換には、エピゲノム変化による各細胞特異的遺伝子発現のオン・オフ制御機構が働いていた。さらに、NeuroD1によるミクログリアからの「人為的な」ニューロン新生によって、成体マウスの虚血性脳損傷後の神経機能障害が改善することもわかった。このセミナーでは、「自然/人為的な」ニューロン新生に関する我々の研究成果(未発表データを含む)を紹介し、今後の中枢神経疾患治療に関して議論したい。
- 問合せ先
 - 遺伝子発現制御
別所 康全 (ybessho@bs.naist.jp) 
        奈良先端科学技術大学院大学