NAIST 奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域

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局所タンパク質合成を介した神経回路の形成・維持

演題 局所タンパク質合成を介した神経回路の形成・維持
講演者 重岡 稔章 博士(ケンブリッジ大学幹細胞研究所 研究員)
使用言語 日本語
日時 2023年1月20日(金曜日) 16:00~16:45
場所 オンライン開催
内容
神経回路の形成は、ニューロンが軸索と呼ばれる突起を標的細胞へ伸長させる過程により開始される。軸索末端が標的に向かって正しい経路で誘導されるためには、軸索末端内での局所的なタンパク質合成が必要であることが知られている。我々は、in vivo軸索内で局所的に合成されるタンパク質
の機能を明らかにするため、マウス網膜神経節細胞 (RGC) 軸索内でリボソームに結合するmRNAの網羅的な解析を試みた。その結果、 従来考えられていたよりもはるかに多く(2000以上)の遺伝子のmRNAが同定され、軸索誘導の過程だけでなく、その後の軸索分岐やシナプス形成過程、さらには、発生を終えた成体マウスにおいても、神経伝達/シナプス可塑性や神経細胞の生存維持に必要なタンパク質が翻訳されていることが判明した。また、同定された遺伝子の中に、多数のリボソーム構成タンパク質(Ribosomal Proteins, RPs) が含まれていることも明らかになった。リボソームは核内の核小体で合成されるため、核から遠く離れた神経軸索末端で合成されるRPsの機能は全く不明であった。軸索内で合成されたRPsを標識し、リボソーム内での検出を試みたところ、軸索内で合成されたRPsがリボソーム局所機能の維持に重要であることを示唆する結果が得られた。
問合せ先 植物成長制御
梅田 正明 (mumeda@bs.naist.jp)

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