セミナー情報
次世代型発酵科学への挑戦
演題 | 次世代型発酵科学への挑戦 |
講演者 | 渡辺 大輔 博士(奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域 ストレス微生物科学研究室 准教授) |
使用言語 | 日本語 |
日時 | 2022年8月1日(月曜日) 10:00~10:40 |
場所 | オンライン開催 |
内容 | 発酵とは、最も伝統的なバイオテクノロジーであり、原材料となる生物とそこに常在する微生物叢、そして発酵作用の主体となる酵母や細菌などの複雑な相互作用が生み出す生命現象である。微生物の存在が知られる以前から人類が築き上げた再現性の高い人工生態系を研究することは、微生物の生きざまや微生物を中心とする生態系の構築原理の理解につながる。本セミナーでは、演者が取り組んでいる最新の研究課題を概説し、「次世代型発酵科学」の確立に向けた挑戦を知って頂くための機会としたい。
アルコール発酵力のデザイン:酵母Saccharomyces cerevisiaeは代表的な発酵微生物であり、アルコール発酵の代謝経路と酵素遺伝子が同定済みであるが、発酵力の人為的改変は困難であった。演者らは、TORC1をはじめとする栄養シグナル伝達経路が鍵を握ることを見出し、酵母が細胞外の栄養状態を感知して発酵力を緻密に制御していることを明らかにした。 ワインの起源:ブドウ果実には発酵力の高い酵母がほとんど存在しない。陸上植物の表面は厚いクチクラ層・細胞壁に覆われており、独自の微生物叢が常在している。演者らは、酵母S. cerevisiaeと植物常在菌の共培養により発酵力が促進されることを発見した。ブドウ表面における酵母の片利共生的な適応がワインの原始的な自然発酵において生じたのかもしれない。 |
問合せ先 | 植物成長制御 梅田 正明 (mumeda@bs.naist.jp) |