NAIST 奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域

セミナー情報

日本産ミヤコグサの集団動態の推定と種内多型に着目した環境適応機 構の解明

演題 日本産ミヤコグサの集団動態の推定と種内多型に着目した環境適応機 構の解明
講演者 若林智美 博士(奈良女子大学 理系女性教育開発共同機構 特任助教)
使用言語 日本語
日時 2021年8月23日(月曜日) 14:00~14:45
場所 オンライン開催
内容

 一度根ざした場所から動くことのできない植物は、生育地の環境による自然選択の影響を受けやすい。日本列島のように多様な環境を有する地域では、広域分布種がそれぞれの環境に適した表現型を獲得することにより、種内に表現型多型を維持することがある。マメ科のミヤコグサは、日本列島に広く分布し、開花時期などの種内多型を有する。本種は、マメ科のモデル植物として、全ゲノム情報や国内各地に由来する野生系統とその遺伝情報を利用できる。本研究では、ミヤコグサの国内での過去の分布変遷と、環境適応形質に関わる遺伝的要因と環境要因を明らかにすることを目的とした。まず、ゲノムワイドな塩基多型情報に基づいた集団遺伝学的解析により、本種が対馬から大きく分けて3つの経路を辿って国内に分布を広げたことが明らかになった。次に、適応度に重要な開花時期についての全ゲノ
ム関連解析では、GF14遺伝子の相同遺伝子が明瞭に検出され、ノックアウトにより本種においても開花時期に影響することが示された。また、当該領域には自然選択の影響を受けた痕跡が見られた。さらに、これまで多年生とされてきたミヤコグサが、種内に一年生・多年生の多型を維持することを発見し、QTL解析や栽培実験を進めている。本セミナーでは、これらの研究についてのこれまでの成果と、現在進行中の実験・解析について紹介する。

問合せ先 植物成長制御
梅田 正明 (mumeda@bs.naist.jp)

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