NAIST 奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域

セミナー情報

組織の形態形成を細胞レベルで理解する
– マウス卵管とシロイヌナズナ胚軸を例に –

演題 組織の形態形成を細胞レベルで理解する
– マウス卵管とシロイヌナズナ胚軸を例に –
講演者 石 東博 (Dongbo Shi) 博士(ハイデルベルク大学 発生生理研究グループ)
使用言語 日本語
日時 2019年4月5日(金曜日) 15:00~16:00
場所 大セミナー室
内容

組織や器官は、それらの役割や機能を果たすために、精巧に形作られる。細胞レベルでどのように形態形成がなされるかについては、まだ未解明なことが多い。本セミナーでは、私がこれまでに取り組んだ二つの異なる例を取り上げる。
一つ目として、マウスの卵管の形態形成を挙げる。卵管は卵巣と子宮をつなぐ管であり、平面内細胞極性を司る因子(PCP因子)によって細胞内小器官である繊毛の向きから、細胞の形、上皮の3次元ヒダ構造が制御されることが明らかになった。さらに、私たちは力学的シミュレーションを用いて、細胞の形がどのように上皮ヒダの構造に影響を及ぼすのかについても明らかにした。
二つ目として、シロイヌナズナの胚軸の二次成長を挙げる。柱状に並んだ形成層幹細胞は、内側に木部組織、外側に師部組織を作り出すことが150年よりも前から知られていたが、細胞レベルでどのように幹細胞が振舞うかはこれまで明らかでなかった。そこで、私たちはEdUを用いたパルスチェイス実験や、Cre-loxPを用いた系譜解析により、二次成長における運命決定図を明らかにした。単一の幹細胞から木部と師部の両方の組織の細胞が作られることがわかり、また、頂端幹細胞とは異なって、幹細胞自身の細胞分裂が盛んであることを見出した。さらに、蛍光による組織特異的な核抽出法とRNA-seq解析を用いて、遺伝子発現による形成層幹細胞の特徴づけを現在試みている。

問合せ先 植物発生シグナル
郷 達明 (goh@bs.naist.jp)

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