NAIST 奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域

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細胞の自己組織化能によって形成されるヒト多能性幹細胞由来の海馬、脊髄、大脳皮質組織とその神経活動へのアプローチ

演題 細胞の自己組織化能によって形成されるヒト多能性幹細胞由来の海馬、脊髄、大脳皮質組織とその神経活動へのアプローチ
講演者 坂口 秀哉 博士 (京都大学iPS細胞研究所 臨床応用研究部門 日本学術振興会 特別研究員PD)
使用言語 日本語
日時 2019年1月15日(火曜日) 16:00~17:00
場所 L12会議室
内容

 大脳や海馬を含む終脳は中枢神経の中でも特に複雑な構造と機能を有する部位にあたり、脊髄は運動や感覚の伝達に必須の組織である。このような神経の障害を対象とした研究は数多く進められているが、特にヒト細胞・組織を対象とした研究は生体のヒト神経組織へのアプローチが困難であり、信頼出来るヒト神経組織の創出が望まれる。この問題に対して、ヒトの神経を組織として多能性幹細胞から分化誘導できれば、複雑なヒトの脳発生のモデルを提供や、疾患からの回復メカニズムなどの解析、移植による細胞治療へも応用できると期待される。
 我々はこれまでに、胚性幹細胞(ES細胞)を用いた3次元培養系によって中枢神経系の組織発生の再現に挑戦し、ヒトES細胞から大脳皮質、内側外套、脈絡叢などの組織の分化誘導に成功してきた(Eiraku et al. 2008, Kadoshima et al. 2013, Sakaguchi et al. 2015)。このような組織としての構造を保った神経領域の分化誘導は、これまでに研究対象とすることが難しかった神経疾患へのアプローチを可能とする新たな基盤となり得ると考えられる。
 本講演では、我々が確立した無血清凝集浮遊培養法による海馬、脊髄(Ogura and Sakaguchi et al. 2018)、および大脳組織の分化誘導研究を紹介するとともに、そこから生み出された大脳皮質神経回路の神経活動の計測に関する最新のデータについても紹介したい。

問合せ先 発生医科学
笹井 紀明 (noriakisasai@bs.naist.jp)

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