NAIST 奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域

セミナー情報

miRNAの活性制御機構の解析

演題 miRNAの活性制御機構の解析
講演者 安藤 吉成 博士(国立研究開発法人 国立がん研究センター研究所 がん幹細胞研究分野 主任研究員)
使用言語 日本語
日時 2018年12月6日(木曜日) 11:15~12:00
場所 大セミナー室
内容
RNAはDNAから転写され、タンパク質に翻訳されることにより機能する。一方で、タンパク質に翻訳されない非翻訳型RNAが多く存在し、重要な機能を果たすことが知られている。20‐25塩基の短鎖非翻訳型RNAであるマイクロRNA (miRNA) は、標的となる遺伝子のmRNAに結合し、発現を抑制することにより、細胞の発生、分化、増殖、細胞死などの調節を行っている。生体内における、miRNAの重要度の高さにも関わらず、その生合成や分解の経路、活性の制御系等、完全には明らかになっていない。私は、ポリA付加酵素の一種であるGLD2が、多種のmiRNAの3’末端にアデニンを付加し、アデニンを付加されたmiRNAは、AGO2タンパク質への取り込みが減少し、標的mRNAに対する抑制活性が減少することを明らかにした(1)。細胞内でのmiRNA量の調節機能の一つとして、miRNAの3’末端へのアデニン付加が機能していると考えられる。
miRNAと結合するAGO2タンパク質は、様々なストレス条件下において、ポリADPリボシル化され、翻訳抑制活性が抑えられることが示唆されている。ポリADPリボシル化はタンパク質翻訳後修飾の一つで、ゲノムDNAの修復や遺伝子発現制御、タンパク質の分解等、様々な生物学的事象の調節に寄与することが知られている。
しかしながら、ポリADPリボシル化を研究するための実験手法が限られており、ポリADPリボシル化されたタンパク質がどのように活性制御されるのかは、明らかになっていない。私は、ポリADPリボシル化されたタンパク質の、ポリADPリボース末端を標識する方法を開発し、ポリADPリボース鎖の鎖長の視覚化、さらにポリADPリボシル化タンパク質の精製を可能にした (2)。
本セミナーでは、これまでに私が行ってきた研究の一部を紹介するとともに、今後の研究の展望についても議論したい。
【参考論文】
(1)    Burroughs*, Ando*, et al., Genome Research 20: 1398‐1410(2010)
(2)    Ando, et al., Molecular Cell accepted
問合せ先 植物細胞機能
橋本 隆 (hasimoto@bs.naist.jp)

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