セミナー情報
Asymmetric Cell Fates During iPS cell Generation Reveal Rapid Pluripotency Gene Reprogramming
演題 | Asymmetric Cell Fates During iPS cell Generation Reveal Rapid Pluripotency Gene Reprogramming |
講演者 | 島本 廉 博士(チューリッヒ工科大学 Department of Biosystems Science and Engineering ポスドク研究員 ) |
使用言語 | 日本語 |
日時 | 2018年12月6日(木曜日) 09:30~10:15 |
場所 | 大セミナー室 |
内容 | iPS細胞の誘導効率は、約1%と非常に低いことが知られている。しかし、なぜiPS細胞になれる細胞となれない細胞に分かれるのか、その原因は明らかとなっていない。iPS細胞誘導過程の細胞運命決定機構は十分に研究されておらず、特に、一細胞レベルで細胞系譜や遺伝子発現ダイナミクスが調べられた報告はこれまでになかった。私達研究グループは、これらの点について調べるため、iPS細胞誘導過程をタイムラプスムービーで撮影し、細胞トラッキングと遺伝子発現の定量を行った。その結果、iPS細胞誘導過程で多能性遺伝子 (Nanog, Oct4, Sox2及びSSEA1) 陰性の親細胞から陰性と陽性の娘細胞が出現する(細胞運命が非対称に決定する)ことが分かった。また、娘細胞間のNanogの発現に違いが生じるまでの時間は、最短で細胞分裂後1.5時間と非常に短時間であった。
次に、私達は、非対称運命決定のメカニズムについて調べるため、シグナリング伝達阻害剤とエピジェネティック修飾因子阻害剤を用いたスクリーニングを行い、非対称運命決定に影響を与える阻害剤を探索した。その結果、 MAPKシグナリング伝達阻害剤とEZH2阻害剤 (EZH2:H3K27me3 methyltransferase)を処理することにより、非対称運命の割合が減少し、対称運命決定の割合が増加することが分かった。この結果から、MAPKシグナリング伝達とEZH2の働きの差が非対称運命決定と関連することが示唆された。 【参考論文】 Asymmetric Cell Fates During iPS cell Generation Reveal Rapid Pluripotency Gene Reprogramming Ren Shimamoto1, Keisuke Okita2, Knut Woltjen2, Yasuhiro Yamada3, Dirk Loeffler1, Konstantinos D Kokkaliaris1, Yang Zhang1 and Timm Schroeder1 1 Department of Biosystems Science and Engineering, ETH Zurich, 4058 Basel, Switzerland 2 Center for iPS Cell Research and Application (CiRA), Kyoto University, Kyoto 606‐8507, Japan 3 Division of Stem Cell Pathology, Center for Experimental Medicine and Systems Biology, Institute of Medical Science, University of Tokyo, Tokyo 108‐8639, Japan (Submitting) |
問合せ先 | 植物細胞機能 橋本 隆 (hasimoto@bs.naist.jp) |