セミナー情報
クライオ電子顕微鏡法による軸糸ダブレット微小管の構築・安定化機構の理解
演題 | クライオ電子顕微鏡法による軸糸ダブレット微小管の構築・安定化機構の理解 |
講演者 | 市川 宗厳 博士(McGill大学Bui研究室所属、日本学術振興会海外特別研究員) |
使用言語 | 日本語 |
日時 | 2018年9月18日(火曜日) 10:00~11:00 |
場所 | 附属図書館 3階マルチメディアホール |
内容 | 繊毛・鞭毛は真核生物の細胞表面から突出している構造であり、繊毛虫テトラヒメナや緑藻クラミドモナスなどの下等真核生物の細胞運動を駆動するだけでなく、ヒトなどの高等真核生物においても、精子の運動駆動や、気管での異物除去、脳室での水流発生、胚発生における左右軸の決定など多岐にわたる重要な機能を担っている。そのため、繊毛タンパク質の異常は、ヒトにおいて繊毛病と呼ばれる様々な病態を引き起こす。そのため繊毛・鞭毛の構造の理解は重要な課題である。繊毛・鞭毛はどちらも中心対微小管を9本のダブレット微小管が取り囲んだ軸糸9+2構造をとっている。ダブレット微小管は、細胞内で一般的に存在するシングレット微小管に比べて非常に安定な構造であり、繊毛・鞭毛に機械的強度を与えている。また、ダブレット微小管のチューブリン格子の内腔側にはMicrotubule Inner Proteins (MIPs)と呼ばれるタンパク質構造があることが明らかとなってきた。近年、クライオ電子顕微鏡法の発展により、in vitroで再構成されたシングレット微小管の構造が原子レベルに近い分解能(4.5 Å以下)で明らかとされ、チューブリンのヌクレオチド状態と構造変化の関係が明らかとなった【1, 2】。一方、軸糸ダブレット微小管の分解能は約20-40 Å程度にとどまっていた。そのため、ダブレット微小管の高分解能での構造解析が必要不可欠であった。 【1】Alushin et al., Cell, 157, 1117-1129 (2014)
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問合せ先 | 構造生命科学 塚崎 智也 (ttsukaza@bs.naist.jp) |