NAIST 奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域

セミナー情報

タンパク質膜透過チャネルSecトランスロコンを経由するタンパク質輸送のメカニズム

演題 タンパク質膜透過チャネルSecトランスロコンを経由するタンパク質輸送のメカニズム
講演者 塚﨑 智也 博士
(本学先端科学技術研究科バイオサイエンス領域 膜分子複合機能学研究室 准教授)
使用言語 日本語
日時 2018年6月21日(木曜日) 15:00~16:00
場所 バイオ棟大セミナー室
内容
生体内で合成されたタンパク質の多くは生体膜をこえて輸送されたり,生体膜に組込まれたりして,その機能を発揮する。生体膜にはSecトランスロコンとよばれる進化的に保存されたタンパク質膜透過チャネルがあり,ここを経由して多くのタンパク質が運ばれる。大腸菌では,膜タンパク質SecY, SecE, SecGからなる複合体がSecトランスロコンを形成しており,ここを経由するタンパク質輸送のモータータンパク質としてSecAATPase, 膜タンパク質SecDFが存在する。SecDFはプロトン駆動力を利用していると考えられている。これらのモータータンパク質は基質タンパク質を伴ったダイナミックな構造変化を繰り返すことによって膜透過を駆動する。この分子メカニズムの解明は,本研究分野の最優先課題の一つであり,構造情報が必要とされていた。2003年ごろから筆者らのグループをはじめいくつかのグループがSecならびに関連因子の構造解析を進めてきた結果,タンパク質の膜透過・膜組込みの理解が深まった。
本セミナーでは,近年我々が進めてきたX線結晶構造解析ならびに機能解析を中心に解説し,考えられるタンパク質輸送のモデルを紹介する[1]-[5]。また,現在進行中のタンパク質輸送の動的メカニズム解明にむけたリアルタイム計測の試みについてもふれたい。

【参考論文】
[1] Kumazakiet al., Nature 509, 516-520 (2014)
[2] Tanaka et al., Cell Rep. 13, 1561-1568 (2015)
[3] Furukawa et al., Cell Rep. 19, 895-901 (2017)
[4] Furukawa et al., Structure 26, 485-489 (2018)
[5] Tsukazaki, FEMS Microbiol. Lett. 365, (2018)
問合せ先 植物細胞機能
橋本 隆 (hasimoto@bs.naist.jp)

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