セミナー情報
個体成長と成熟期進行を調節する仕組み
演題 | 個体成長と成熟期進行を調節する仕組み |
講演者 | 西村 隆史 博士(理化学研究所多細胞システム形成研究センター、成長シグナル研究チーム チームリーダー ) |
使用言語 | 日本語 |
日時 | 2018年1月10日(水曜日) 10:00~11:00 |
場所 | 大セミナー室 |
内容 | 生物は栄養環境の変化をどのように認識して、個体成長や発育進行を調節しているのか? 我々ヒトの小児期を含め、多細胞生物の発育過程は栄養状態といった外部環境の変化に応じて、柔軟に個体成長を調節できる。この適応能力により、成長と代謝のバランスが取られ、適切な大きさと正常な機能形態を持つ生物個体へと発育していく。この成長と代謝の両方を制御する重要な内分泌ホルモンが、進化的に保存されたインスリン様ペプチドである。多くの生物において、内分泌シグナルを介した成長制御と成熟開始のタイミングが、最終サイズを規定する。しかしながら、環境変化に対する応答や生物個体が有している恒常性維持の仕組み、さらには環境に応じた個体サイズの調節機構や成熟期開始の仕組みには不明な点が多く残されている。
我々は、遺伝学的アプローチと栄養環境操作が容易なキイロショウジョウバエをモデル生物として用い、個体レベルでの成長制御と代謝恒常性に関する研究を行っている。 本セミナーでは、栄養依存的な個体成長を支えるインスリン様ペプチドの制御機構について紹介する。また、成熟期開始の仕組みについて、代謝恒常性の視点から進めている研究を紹介する。最近、発育時期に応じて貯蔵糖代謝が動的に制御されていること、内分泌ホルモンを介した代謝調節が発育進行に重要な役割を果たすことを見いだした。発育進行に伴う糖代謝の調節機構とその生理的意義について議論したい。さらに、環境ストレスと代謝恒常性の破綻が引き起こす生理・生体機能への影響について、今後の展望を交えて紹介したい。 |
問合せ先 | 植物細胞機能 橋本 隆 (hasimoto@bs.naist.jp) |