NAIST 奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域

セミナー情報

抑制性免疫補助受容体による自己免疫とがん免疫の制御

演題 抑制性免疫補助受容体による自己免疫とがん免疫の制御
講演者 徳島大学・岡崎拓教授
使用言語 日本語
日時 2017年12月20日(水曜日) 16:00~17:00
場所 大セミナー室
内容

2014年7月、がん治療薬としてPD-1阻害抗体が、世界に先駆けて日本で認可された。従来の抗がん剤が、がん細胞に直接作用して、その増殖や生存を阻害するのに対して、PD-1阻害抗体は患者の免疫系、特にTリンパ球に作用して、がん細胞をTリンパ球に殺させることにより治療効果を発揮する。PD-1(Programmed cell death 1)は、プログラム細胞死誘導時に発現する遺伝子として1992年に石田靖雅博士、本庶佑博士らによって同定されたI型膜タンパク質である。その後の研究により、PD-1は自己に対する不適切な免疫応答や過剰な感染免疫応答、自己の細胞から発生するがんに対する免疫応答を抑制する、抑制性の免疫補助受容体であることが明らかとなっている。
  リンパ球の活性化は、PD-1やCD28、CTLA-4をはじめとする様々な免疫補助受容体によって厳密に制御されている。すでに、複数の免疫補助受容体を標的としたがん免疫療法の臨床応用が開始されているが、各免疫補助受容体の違いや、複数の免疫補助受容体による協調的な制御ネットワークは、依然ほとんど分かっていない。本セミナーでは、PD-1をはじめとした複数の免疫制御分子による免疫制御ネットワークシステム解明に向けた取り組みを中心に紹介したい。

問合せ先 機能ゲノム医学
石田 靖雅 (ishiday@bs.naist.jp)

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