セミナー情報
神経細胞軸索中で翻訳される mRNA の多様性
演題 | 神経細胞軸索中で翻訳される mRNA の多様性 |
講演者 | 重岡 稔章 博士、英国ケンブリッジ大(ポスドク、the Christine E. Holt laboratory) |
使用言語 | 日本語 |
日時 | 2017年12月4日(月曜日) 16:00~17:00 |
場所 | 大セミナー室 |
内容 | 神経回路形成は、神経細胞が軸索と呼ばれる突起を標的細胞へ伸長させる過程(軸索誘導)により行われる。軸索誘導においては、軸索の末端で行われる蛋白質の合成過程(mRNAからの「翻訳」過程)が重要であることが知られている。我々は、網膜神経節細胞中で標識リボソームを発現するノックイン・マウスを用いて、視神経軸索で翻訳されるmRNAの網羅的解析を行った。この手法により、軸索内翻訳は、軸索発生過程のみならず、成熟神経回路を持つ成体マウス中でも行われることが明らかにされた。同定された2000以上の遺伝子の中で、我々は特に多数のリボソーム構成タンパク質(Ribosomal Proteins, RPs)の軸索内翻訳に注目している。リボソームは細胞核内の核小体において組み立てられ、その完成型が軸索へ輸送されるというモデルが定着しており、核を持たない軸索末端で合成される大量のRPsの生理機能は不明である。我々の培養網膜神経節細胞を用いた研究は、 神経細胞発生過程においてRPsの軸索内翻訳が厳密に制御されており、それらがリボソームに取り込まれ、その内部で機能している可能性を示唆している。 |
問合せ先 | 機能ゲノム医学 石田 靖雅 (ishiday@bs.naist.jp) |