セミナー情報
オーキシンによる植物の成長調節
演題 | オーキシンによる植物の成長調節 |
講演者 | 笠原 博幸 博士(東京農工大学グローバルイノベーション研究院 教授) |
使用言語 | 日本語 |
日時 | 2017年12月1日(金曜日) 15:00~16:00 |
場所 | 大セミナー室 |
内容 | オーキシンは植物の成長や環境応答の調節において中心的な役割を果たす植物ホルモンとして知られており、その調節機構の解明は長年にわたる植物科学の重要課題である。植物の主要なオーキシンはインドール-3-酢酸(IAA)であり、その極性輸送やシグナル伝達の分子機構は、分子生物学の発展と共に明らかにされてきた。このような中、私たちも70年近く謎だった植物のIAA生合成経路の解明に挑み、植物に共通したIAA生合成の主経路や、アブラナ科に存在する補助的な経路を明らかにした。これにより、IAAはシュートの若い組織で合成されて葉や根に輸送されると考えられてきたが、実際には植物の様々な器官でも合成されていることを示した。また、私たちは古くからオーキシンの一つとして知られていたフェニル酢酸(PAA)が、極性輸送されないユニークな特性をもつことを最近発見した。PAAは陸上植物に広く存在し、またIAAと同じシグナル伝達経路で作用することも分かった。この結果、これまでのオーキシンの「量」に加えて「種類」も植物の成長調節に重要であることが新たに示唆された。現在、私たちは移動特性の異なる2つのオーキシンが協働的に植物の成長や分化を制御する可能性について研究を進めており、本講演では最近の取り組みについても紹介したい。
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問合せ先 | 植物細胞機能 橋本 隆 (hasimoto@bs.naist.jp) |