セミナー情報
シロイヌナズナ受精卵における発生軸の確立
演題 | シロイヌナズナ受精卵における発生軸の確立 |
講演者 | 植田 美那子 博士 (名古屋大学大学院理学研究科 日本学術振興会特別研究員) |
使用言語 | 日本語 |
日時 | 2010年9月3日(金曜日) 13:30~ |
場所 | バイオサイエンス研究科 大セミナー室 |
内容 | 多細胞生物は複雑な構造をもつが、それらは全て受精卵という単一細胞に由来する。種子植物の受精卵は高度な細胞極性をもち、その細胞分裂によって異なる発 生運命をもつ二つの娘細胞を生じる。シロイヌナズナでは頂端側に生じた娘細胞は植物体の地上部全てを生み出すのに対し、基部側の娘細胞は根端の一部と胚外 組織である胚柄の元となる。このように顕著な形態変化にもかかわらず、受精卵の細胞極性を生じ、多細胞体の軸性へと変換する分子メカニズムは現在でも解明 されていない。 シロイヌナズナのホメオボックス型転写因子をコードするWOX8 (WUSCHEL RELATED HOMEOBOX8)遺伝子は受精卵で発現し、その不等分裂後には基部細胞にのみ発現が受け継がれる。我々はこれまでにWOX8の発現パターンを制御する 複数の転写因子を同定し、それらが受精卵の細胞極性とその不等分裂をも制御することを明らかにした。しかしながら、これらの転写因子はWOX8よりも広範 囲に発現することから、遺伝子発現以外の調節を受けると予想される。発生軸を厳密に設定するために重要だと考えられるこの機構の解明と並行して、これら転 写因子群の下流で発生軸確立を制御する実働因子群の網羅的探索を進めている。 |
問合せ先 | バイオサイエンス研究科長 真木 寿治 (maki@bs.naist.jp) |