セミナー情報
T 細胞のエネルギー代謝と PD-1 抗体の抗腫瘍効果
演題 | T 細胞のエネルギー代謝と PD-1 抗体の抗腫瘍効果 |
講演者 | 茶本健司 博士(京都大学医学部 免疫ゲノム医学講座 講師) |
使用言語 | 日本語 |
日時 | 2017年3月27日(月曜日) 16:00~17:00 |
場所 | 大セミナー室 |
内容 | PD-1抗体治療はがん治療分野に革命的な変化をもたらした。しかし非応答性の患者もまだ多く存在するため、様々な既存法の併用が試されているが、十分効果を発揮するものはほとんどない。エネルギー代謝はT細胞の活性化において重要な役割を果たすが、その代謝を制御することでPD-1阻害によるT細胞系抗腫瘍免疫を増強できる可能性がある。実際、主なエネルギー産生を担うミトコンドリアは、PD-1抗体治療中に出現したがん反応性T細胞において活性化し、活性酸素(ROS)を高く発現していた。ROS発生剤をPD-1抗体と併用すると抗腫瘍効果が増強され、またミトコンドリアの脱共役剤はROSを介して抗腫瘍効果を増強した。脱共役剤はがん反応性キラーT細胞内のミトコンドリアを活性化させ、エフェクターT細胞の出現を増加させた。 興味深いことに、その時互いに拮抗するエネルギーセンサー mTORとAMPKはキラーT細胞中で両方活性化されており、低分子化合物により両方の関連シグナルを活性化すると、PD-1抗体治療の治療効果を増強した。代謝制御による抗腫瘍免疫の制御は、PD-1抗体との新たな併用治療の方向性を示すものである。 |
問合せ先 | 機能ゲノム医学 石田 靖雅 (ishiday@bs.naist.jp) |