セミナー情報
ユビキチンリガーゼによるシグナル伝達タンパク質の分子認識
演題 | ユビキチンリガーゼによるシグナル伝達タンパク質の分子認識 |
講演者 | 森 智行 博士 (奈良先端科学技術大学院大学バイオサイエンス研究科 特任助教) |
使用言語 | 日本語 |
日時 | 2017年1月24日(火曜日) 13:30~14:15 |
場所 | 大セミナー室 |
内容 | ユビキチンリガーゼ複合体は、その構成因子である基質受容体タンパク 質が基質を正確に見分けて捕捉して、基質をユビキチン化する。そして、ユ ビキチン化された基質はユビキチン‐プロテアソーム系(UPS)で分解される。 基質には転写因子や酵素などのシグナル伝達タンパク質も含まれるので、 ユビキチンリガーゼはUPSを介して細胞内のシグナル伝達を調節する重要 な制御因子である。近年、ユビキチンリガーゼを標的とした薬剤を使って、 UPSを介したシグナル伝達を調節することで、ガンなどの疾病治療が行われ はじめた。そして、その作用機序の詳細を知るためにユビキチンリガーゼに よる基質や薬剤の分子認識を精密に理解しようとする試みがなされている。 我々は、ユビキチンリガーゼの基質受容体とシグナル伝達タンパク質、そ して、基質受容体を標的とする薬剤と基質受容体の相互作用様式を、原子 レベルの分解能で明らかにする目的で研究を行ってきた。近年、ユビキチン リガーゼの基質受容体であるDCAF1とガン抑制遺伝子産物であるMerlinと の複合体立体構造解析1)、加えて、サリドマイドの標的である基質受容体 CRBNとサリドマイド改良薬である免疫調節薬(IMiDs)との複合体立体構造解 析2)を行って、それらの相互作用様式の詳細を明らかにした。本セミナーで は、これらの研究成果と今後の展開を発表する。 1) Mori T et al., Genes Cells. 2014 Aug;19(8):603‐19. 2) Chamberlain, P. P., et al., Nat Struct Mol Biol. 2014 Sep;21(9):803‐9. |
問合せ先 | 構造生物学 箱嶋 敏雄 (hakosima@bs.naist.jp) |