セミナー情報
出芽酵母におけるマンノシド糖鎖代謝制御機構
演題 | 出芽酵母におけるマンノシド糖鎖代謝制御機構 |
講演者 | 梅川 碧里 博士(立命館大学生命科学部生物工学科 助教) |
使用言語 | 日本語 |
日時 | 2016年11月16日(水曜日) 10:00~10:45 |
場所 | 大セミナー室 |
内容 | 細胞は栄養飢餓時における様々な生存戦略を獲得してきた。栄養飢餓に応じて強く 誘導される「オートファジー」は、真核生物に共通な大規模分解機構であり、不要なタ ンパク質やオルガネラなどの自己成分を細胞内消化器官であるリソソーム(酵母の液 胞)へ輸送し分解する。本メカニズムの解明に大きく貢献した大隅良典博士が本年ノー ベル生理学・医学賞を受賞されたばかりである。オートファジーの生理機能は、不要な 細胞内自己成分を分解する浄化システムであるとともに、栄養飢餓時に自己タンパク 質を分解して生じるアミノ酸を供給するリサイクルシステムとも考えられているが、 「オートファジーによる分解産物が実際にどのように利用されることが重要であるか」に ついての知見は乏しい。また、オートファジーを介した細胞内糖鎖の栄養飢餓時にお ける代謝分解の重要性についてはよくわかっていない。 私は、出芽酵母のマンノシド糖鎖の代謝分解を担うマンノシダーゼ酵素であるAms1 に着目し、本酵素の細胞内代謝分解活性がオートファジーと連動して栄養飢餓時に強 く誘導されることを見出し、その分子メカニズムを明らかにした。本結果から、出芽酵母 は栄養飢餓時に細胞内に豊富に存在するマンノシド糖鎖を積極的に代謝分解し、利 用しているのではないかと考えている。本セミナーでは、明らかとなった本酵素の細胞 内誘導制御機構についてお話しするとともに、今後の研究方向について議論させてい ただきたい。 |
問合せ先 | 構造生物学 箱嶋 敏雄 (hakosima@bs.naist.jp) |