セミナー情報
「遺伝子のかたち」 〜長鎖ノンコーディングRNAとマイクロペプチド〜
演題 | 「遺伝子のかたち」 〜長鎖ノンコーディングRNAとマイクロペプチド〜 |
講演者 | 影山 裕二 博士(神戸大学・バイオシグナル総合研究センター 准教授) |
使用言語 | 日本語 |
日時 | 2016年10月13日(木曜日) 09:30~10:30 |
場所 | 大セミナー室 |
内容 | 真核生物のゲノム解析のもっとも大きな成果の一つは、我々の細胞の中には膨大な 数の長鎖ノンコーディングRNA(long-noncoding RNA, lncRNA)が存在しているとい う事実が明らかになったことではなかろうか。これらのlncRNAの多くは組織あるいは 細胞特異的な発現様式を示し、細胞分化などの生命現象にとどまらず、がんなどの疾 患にも深く関与していることが明らかになりつつある。一方で、lncRNAとして同定され たRNAの中にはごく小さなペプチド(マイクロペプチド)をコードしている可能性があるも のが多数存在し、実際にそのようなペプチドが細胞内で重要な機能を担う例が多数見 つかっている。lncRNAは比較的最近になって研究が進んだ分子種であるが、lncRNA 研究の進展により、遺伝子産物=タンパク質という図式はすでに過去のものとなったと 言ってよい。遺伝子産物に対する我々の概念は未だ完成されたものではないのである。 我々の研究室では、ショウジョウバエのlncRNA遺伝子を多数同定し、それらの生理 機能の解明を進めてきたが、本セミナーでは、中枢神経系において軸索誘導に関与 するlncRNA遺伝子lobe-less と、時期特異的な遺伝子発現制御のスイッチとして機能 するマイクロペプチド遺伝子polished riceについての我々の研究成果を紹介したい。 ゲノム情報に含まれる「遺伝子のかたち」が如何に多様であるかに思いをはせていた だければ幸いである。 |
問合せ先 | 構造生物学 箱嶋 敏雄 (hakosima@bs.naist.jp) |