セミナー情報
一次代謝経路の進化多様性を利用した植物ケミカルプラットフォームの構築
演題 | 一次代謝経路の進化多様性を利用した植物ケミカルプラットフォームの構築 |
講演者 | 前田 宏 博士(ウィスコンシン大学マディソン校 助教) |
使用言語 | 日本語 |
日時 | 2016年8月22日(月曜日) 13:30~14:30 |
場所 | バイオサイエンス研究科 大セミナー室(C109) |
内容 | 固着の植物は、進化の過程で数多くの二次代謝化合物を生合成し、常に変化する 環境に適応してきた。これらの植物天然化合物の多くは、人の必須栄養素や薬として も、大変重要な役割を担っている。私達の研究グループでは、これら二次代謝経路へ 基質を提供する一次代謝経路の多様性進化を解明し、炭素フラックス供給を最適化し た植物ケミカルプラットフォームの構築を目指している。 芳香族アミノ酸であるチロシンは、タンパク生合成に必須であるが、多種多様な植物 天然化合物(モルヒネ、ビタミンEなど)の前駆体としても重要である。シロイナズナを含 む多くの植物では、チロシンはアロジェン酸脱水酵素(ADH/TyrAa)を介して葉緑体内 で合成される。また、ADH酵素はチロシンによるフィードバック阻害を受ける。当研究室 では、チロシン由来のベタレイン色素を多く蓄積する甜菜より、非感受性のADH酵素を 単離・同定した。また、大豆などのマメ科では、葉緑体局在のADH酵素に加えて、非感 受性のプレフェン酸脱水酵素(PDH/TyrAp)が細胞質に存在することを発見した。以上 の結果より、チロシン合成経路およびその制御機構が植物種によって異なることが明 らかとなった。本発表では、これら特性の異なる酵素の生理学・進化学的意義、また機 能構造解析および有用化合物生産への応用に関して議論する。 |
問合せ先 | 植物細胞機能 橋本 隆 (hasimoto@bs.naist.jp) |