セミナー情報
プロテオミクスによるヒトヘテロクロマチンの理解
演題 | プロテオミクスによるヒトヘテロクロマチンの理解 |
講演者 | 小布施 力史 教授 (北海道大学・大学院先端生命科学研究院) |
使用言語 | 日本語 |
日時 | 2010年10月14日(木曜日) 17:00~ |
場所 | バイオサイエンス研究科 大セミナー室 |
内容 | HP1は細胞周期をとおして常に凝縮した転写が不活性な染色体(ヘテロクロマチン)の主要な構成要素であり、様々な因子と相互作用することでそれらの因子が染色体上で働く場を提供している。われわれはHP1のヘテロクロマチン機能への寄与を分子レベルで明らかにするために、プロテオミクスによるHP1相互作用因子の網羅的な探索を行い、その相互作用を手がかりに機能解析を行っている。プロテオミクスによりHP1結合タンパク質として同定した82種類は、HP1との結合プロファイルにより大きく4つのグループにクラスタリングされた姉妹染色体分体合着に関わるSgo1、Mis12キネトコア複合体、クロモソームパッセンジャー複合体(CPC)の構成因子など、同定した多くのHP1結合因子は、疎水性のアミノ酸がならんだPxVxL配列モチーフを介してHP1と相互作用した。興味深いことに、新規HP1結合因子であるPOGZはZnフィンガー様モチーフを介してHP1と結合しており、PxVxLモチーフを持つHP1結合因子と競合的にHP1と結合することにより、HP1およびHP1結合因子の染色体上から遊離させることを明らかにした。また、そのメカニズムを使ってHP1とPOGZが分裂期進行に必須なオーロラキナーゼの活性化に寄与していることを示した。その他、われわれが見いだした新規HP1結合因子の機能解析についても紹介し、プロテオミクスの有用性について議論するとともに、最近着手した次世代シーケンサーを用いたChIP-seq法による解析についても報告し、助言を求めたい。 |
問合せ先 | システム細胞学講座 小笠原 直毅 (nogasawa@bs.naist.jp) |