セミナー情報
酵母におけるアルギニン・一酸化窒素代謝を介したストレス応答の分子機構の解析
演題 | 酵母におけるアルギニン・一酸化窒素代謝を介したストレス応答の分子機構の解析 |
講演者 | 那須野 亮 博士(ストレス微生物科学研究室 博士研究員) |
使用言語 | 日本語 |
日時 | 2016年4月4日(月曜日) 16:00~16:45 |
場所 | バイオサイエンス研究科 大セミナー室 |
内容 | 酵母は、発酵産業における実用微生物として、また高等真核生物や病原性真菌の モデル生物として重要な微生物であり、酵母の環境ストレス応答を理解することは基 礎・応用の両面できわめて意義深い。先行研究により、N‐アセチルトランスフェラーゼ Mpr1依存的に合成されるアルギニンから一酸化窒素(NO)が生成し、酵母が高温スト レス耐性を獲得することが示唆されていたが、これらの経路の詳細な機構は不明で あった。我々は、ストレス下におけるアルギニン合成経路の鍵酵素であるMpr1の立体 構造と反応機構を明らかにし、これを応用してアルギニン合成能の向上した酵母株を 構築することに成功した。また、NOが銅代謝に関連する転写因子Mac1の活性化を介 して、酵母の高温ストレス耐性に寄与することを示した。これらの知見は、酵母のスト レス応答を理解する上で、アルギニン/NOを介したシグナル経路という新たな観点を提 供し、発酵産業への応用のみならず、高等真核生物や病原性真菌における環境応答 の理解およびその応用に資すると期待される。 |
問合せ先 | 構造生物学 箱嶋 敏雄 (hakosima@bs.naist.jp) |