セミナー情報
極性をもった根の細胞成長の制御メカニズム
演題 | 極性をもった根の細胞成長の制御メカニズム |
講演者 | 高塚 大知 博士 (名古屋大学大学院 生命農学研究科) |
使用言語 | 日本語 |
日時 | 2016年1月4日(月曜日) 14:00~14:45 |
場所 | バイオサイエンス研究科 L12会議室 |
内容 | 植物の成長において、根は養分・水の吸収を行うだけでなく、重力や接触刺激などの環境の変化を感知して成長方向を変えながら植物体を支持するなど非常に重要な役割を持つ。根の成長には、分裂組織での細胞分裂を介した細胞数の増加と並び、伸長領域で起こる細胞成長による体積の増加が重要な要因となる。分裂組織で生み出された細胞は長さ10 μmにも満たないが、伸長領域に移行した後、ごく短時間で数百μmの細胞長にまで達する。このことは、根の成長や環境に応答した根の屈曲における細胞成長の重要性を示している。一般に、細胞成長は、極性をもたず細胞全体が均一に成長する「拡散成長」と細胞の特定の領域が活発に成長する「先端成長」の2つの様式に分類される。これまで根の表皮細胞は拡散成長を行うと考えられてきたが、私はライブイメージングを行い、急激な細胞伸長が起こる際には頂端側が基部側に比べてより活発に伸長する極性をもった成長が起こっていることを見出した。この極性をもった成長はアクチン依存的な現象であることを明らかにし、また、環境に応答した迅速な根の屈曲にも重要であることを見出した。以上の発見から、極性をもった細胞成長様式は環境に応答した根の成長制御の根幹をなす重要な現象であると考えられる。 |
問合せ先 | 構造生物学 箱嶋 敏雄 (hakosima@bs.naist.jp) |