セミナー情報
皮膚が隔てる外と内:皮膚バリア構造と免疫の視点から
演題 | 皮膚が隔てる外と内:皮膚バリア構造と免疫の視点から |
講演者 | 久保 亮治 博士 (慶應義塾大学医学部皮膚科/総合医科学研究センター) |
使用言語 | 日本語 |
日時 | 2010年10月20日(水曜日) 16:00~ |
場所 | バイオサイエンス研究科 L13会議室 |
内容 | 多細胞生物の身体の表面は上皮細胞シートにより覆われ、身体の外と内が分け隔てられている。上皮細胞シートによるバリアは、上皮細胞自身の細胞膜と、細胞間隙をシールするタイトジャンクション(TJ)からなる。我々の身体の内側の表面(気管・消化管などの粘膜)は単層上皮細胞シートにより覆われ、さらにその表面の粘液がバリアを補強している。一方、身体の外側の表面(皮膚)は、重層扁平上皮のシート(表皮)により覆われ、その表面をさらに角質層が覆って、外界からの刺激と乾燥による傷害を防いでいる。陸生脊椎動物の皮膚表皮のバリアとは、空気環境(外)と液性環境(内)を分ける構造であると同時に、免疫系にとって非自己が存在しても良い領域(外)と非自己が存在してはいけない領域(内)を分ける構造である。興味深いことに、粘膜と皮膚の双方において、TJ バリアの外側に存在する抗原を取り込む機構が存在する。本セミナーでは、脊椎動物の皮膚バリアの構造と機能について、表皮構造の進化過程に着目して解説するとともに、表皮ランゲルハンス細胞による表皮TJ バリア外からの抗原取込み機構について紹介したい。表皮という厚さわずか数百ミクロンの構造の中には、何億年もの時間をかけて進化してきた、免疫と上皮組織による精緻かつエレガントなバリアシステムが存在する。その一端を紹介できれば幸いである。 References
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問合せ先 | 分子発生生物学 高橋 淑子 (yotayota@bs.naist.jp) |