NAIST 奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域

セミナー情報

ユビキチンシグナルを介した植物の生存戦略

演題 ユビキチンシグナルを介した植物の生存戦略
講演者 佐藤 長緒 博士(北海道大学大学院理学研究院 生物科学部門 助教)
使用言語 日本語
日時 2015年12月14日(月曜日) 11:00~12:00
場所 大セミナー室
内容 ユ ビキチン修飾はタンパク質の安定性や細胞内局在性制御を介して多用な生命 現象を支えるシグナルとして機能する。シロイヌナズナのゲノム中には 1,300を 超えるユビキチンリガーゼがコードされており,これは酵母や哺乳動物種と比較 して非常に多い。一方で,その具体的な機能についての理解は遅れてい た。し か し,最近そのユビキチン化標的分子が明らかになることで,多様な環境スト レス適応機構としてユビキチンリガーゼの機能が注目されている。 私達は, 基幹代謝の根幹を担う糖(炭素,C)と窒素(N)の相対量比「C/N」バ ランスに着目し,長年不明であったC/Nセンシングとシグナル制御の分子 メカニ ズ ムの研究を進めてきた。変異体スクリーニングから新規C/N応答制御因子とし てユビキチンリガーゼATL31を単離し,ユビキチン化標的分子とし て 14-3-3タ ンパク質を同定した。また,14-3-3インタラクトーム解析から,栄養シグナル制 御に関わる新規因子として核局在性BTB型ユビ キチンリ ガーゼを単離し,その 機能解析を進めている。さらに,最近の解析から,ATL31を含む膜局在型ユビキ チンリガーゼATLファミリーが受容体キ ナーゼや膜 交通制御因子との相互作用 を介して,植物の病原体抵抗性制御においても重要な役割を果たすことが分かっ てきている。 本セミナーでは,こうした知見から見えてきたユビキチンシグナルを介した植物 の細胞機能制御と生存戦略について紹介したい。
問合せ先 植物代謝制御
大谷 美沙都 (misato@bs.naist.jp)

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