セミナー情報
植物における細胞内輸送を介したユビキチン依存的タンパク質分解の制御
演題 | 植物における細胞内輸送を介したユビキチン依存的タンパク質分解の制御 |
講演者 | 磯野 江利香(ミュンヘン工科大学生命科学センター グループリーダー) |
使用言語 | 日本語 |
日時 | 2015年11月27日(金曜日) 11:00~12:00 |
場所 | 研修ホール(学際融合領域研究棟2号館1階) |
内容 | 環境の変化に応答したさまざまなシグナル伝達系の制御は、ひとつひとつの細胞の機能調節のみならず個体の生存戦略において大変重要である。素早い環境応答には複数の因子が関わっているが、多くの場合、特定のタンパク質を特定のタイミングで分解することがシグナル伝達制御の重要な鍵となっている。真核生物における26Sプロテアソームまたはリソソーム・液胞内のタンパク質分解酵素による選択的タンパク質分解は、ユビキチンによる翻訳後修飾系に依ることが知られているが、ユビキチン化制御の分子機構には未知の部分が多い。演者の研究室では細胞膜上に局在する膜タンパク質の分解が、ユビキチン化を制御する脱ユビキチン化酵素群によってどのように制御されているかを分子レベルで解明し、またこれらの酵素群が植物の生長や環境応答にどのように寄与しているかを明らかとすることを目標として研究を進めてきた。シロイヌナズナを用いた最近の研究では脱ユビキチン化酵素であるAMSHタンパク質ファミリーが、膜タンパク質の分解、細胞内輸送、オートファジー等に関与していることが分かり、植物細胞においてはタンパク質分解を担うオルガネラである液胞のバイオジェネシスにも必要であることが明らかとなった。さらに、相互作用因子の解析を通して、脱ユビキチン化酵素自身の局在制御に関わると推測される因子の同定も行ってきた。変異体を用いたこれまでの解析では、ユビキチン依存的な細胞内の輸送経路が植物の生長だけでなく病原菌応答にも関与することが示されてきている。本セミナーでは、今後の展望も含めて、植物におけるユビキチン化の制御機構とその多岐にわたる生物学的意味について考察したい。 |
問合せ先 | 構造生物学 箱嶋 敏雄 (hakosima@bs.naist.jp) |