セミナー情報
植物の細胞質分裂における微小管脱重合勾配の検出とその役割
演題 | 植物の細胞質分裂における微小管脱重合勾配の検出とその役割 |
講演者 | 村田 隆 准教授 (基礎生物学研究所) |
使用言語 | 日本語 |
日時 | 2011年3月28日(月曜日) 16:00~ |
場所 | バイオサイエンス研究科 大セミナー室 |
内容 | 陸上植物の細胞質分裂においては、娘染色体の間に形成された細胞板が拡大し細胞が2つに分かれる。細胞板の拡大は細胞の増殖に必須の過程であるにもかかわらず、拡大の分子機構はわかっていない。細胞板はフラグモプラストと呼ばれる微小管複合体中で形成され、重合脱重合の繰り返しによる微小管の更新が細胞板の拡大に関与すると考えられている。細胞板の拡大機構が未解明だった原因の一つは、生きている細胞で細胞板拡大中の微小管動態を解析することが難かったためである。我々は、細胞板拡大中のフラグモプラスト微小管の動態を定量的に解析することに成功した。本発表ではその結果をもとに細胞板拡大機構の新しいモデルを提唱する。 従来考えられていた細胞板拡大側の縁での微小管重合説を検証するため、微小管伸長端マーカーGFP-EB1を発現する細胞を用いて微小管形成に偏りがあるかを調べたところ、伸長端密度の細胞板拡大側の縁への顕著な偏りは見られず仮説は支持されなかった。また、微小管の端は様々な方向に向かって伸長することがわかった。次に、蛍光チューブリン発現細胞を用い、光退色蛍光減衰法を用いて微小管の脱重合頻度を解析したところ、細胞板拡大側の縁からフラグモプラスト内側に向けて脱重合頻度が上昇することがわかった。細胞板の拡大は微小管の様々な方向への伸長と脱重合頻度の偏りがもたらす微小管の分布変化によって起こるものと考えられる。 |
問合せ先 | 植物遺伝子機能学 橋本 隆 (hasimoto@bs.naist.jp) |