セミナー情報
イネにおけるメリステムの形成と恒常性維持の制御機構
演題 | イネにおけるメリステムの形成と恒常性維持の制御機構 |
講演者 | 平野 博之 教授(東京大学大学院理学系研究科・教授) |
使用言語 | 日本語 |
日時 | 2015年10月23日(金曜日) 15:30~17:00 |
場所 | 大講義室 |
内容 | 植物は腋芽の形成とその伸長により,2次・3次シュートを形成し,分枝を繰り返す.イネは分枝形成とほぼ同時に下位節に不定根が生じるため,分蘖 (tiller)と呼ばれ,2次・3次シュートは独立な個体となる.私たちは,分蘖が起こらない変異体 (tillers absent1, tab1) を単離し,そのTAB1遺伝子の機能を解析するとともに,腋芽メリステム形成の機構を明らかにした (Tanaka et al., Plant Cell, 2015).TAB1は腋芽メリステム形成初期のpre-meristem zoneで発現し,その未分化性を維持している.一方,腋芽メリステムが完成する頃になると発現は消失する.また,胚発生時に形成された茎頂メリステムでは発現も検出されず,その機能も正常である.TAB1は,シロイヌナズナのWUSCHELのオーソログである.シロイヌナズナのwus変異体では茎頂メリステムの維持はできないが,多数の不定根を生じ分枝形成が促進される.したがって,イネとシロイヌナズナとでは,一見, TAB1/WUSの機能が大きく異なっていると考えられる.本セミナーでは,イネの腋芽メリステム形成の機構について解説するとともに,TAB1とWUSの機能の違いと類似性についてもについて論じたい.また,イネ独自の茎頂メリステムの維持の促進因子や生殖成長期の腋芽メリステムに関わる遺伝子の機能についても触れる予定である. |
問合せ先 | 植物発生シグナル 中島 敬二 (k-nakaji@bs.naist.jp) |