NAIST 奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域

セミナー情報

オートファジーの膜動態の解明を目指して

演題 オートファジーの膜動態の解明を目指して
講演者 大阪大学大学院医学系研究科 生命機能研究科
濱崎 万穂 准教授
使用言語 日本語
日時 2015年9月24日(木曜日) 13:30~14:30
場所 Large seminar room
内容 オートファジーAutophagyは、全真核生物が備える細胞内大規模分解システムで、自己成分の再利用を通し、細胞の新陳代謝、飢餓時の栄養確保などの代謝機能を担う。膜オルガネラであるオートファゴソームが細胞質や他のオルガネラの一部を囲い込み、リソソームが融合し分解が起こる。オートファゴソームは脂質2重層を2つ持ち、他のオルガネラと異なり必要時に形成されるなど、極めてユニークな膜動態を持つ。 演者は、大学院後期課程においてオートファジー研究のパイオニアである大隅良典教授の元でオートファゴソーム形成の研究を行って以来、一貫してオートファジーの膜動態を研究テーマとしてきた。まず酵母細胞を用いて、小胞体からのメンブレントラフィックに働くCOPII小胞形成因子のオートファゴソーム形成への関与を見出した1。現所属研究室ではサイズが大きく観察しやすい動物細胞を用いて、永年論争の的となってきたオートファゴソームの起源について、小胞体とミトコンドリアの接触部位が形成の場であることを示した2。一方で近年注目を集めている選択的オートファジーの研究も開始し、尿酸結晶などで損傷を受けたリソソームがオートファジーのターゲットに なることを世界に先駆け示し、リソファジーと名付けた3。小胞体からのメンブレントラフィックに関与する更なる因子の探索やリソファジーの分子機構解明のためイメージングベースのスクリーニングを行い新規因子の探索を行った結果、複数の候補を同定することに成功し現在解析中である。また現在進行中のJSTさきがけ研究では、ナノスケールでタンパク質の位置を決定可能な新しい光学顕微鏡‐電子顕微鏡相関(CLEM)法と、膜の超微細構造を3次元で観察する電子線トモグラフィーを組み合わせたアプローチを考案しオートファゴソーム形成などの複雑な膜動態におけるタンパク質の構造機能相関の理解を目指している。
問合せ先 構造生物学
箱嶋 敏雄 (hakosima@bs.naist.jp)

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