セミナー情報
植物RNAウイルスの遺伝子発現戦略
演題 | 植物RNAウイルスの遺伝子発現戦略 |
講演者 | 田島 由理 博士 (奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス研究科 ) |
使用言語 | 日本語 |
日時 | 2015年8月20日(木曜日) 15:00~15:45 |
場所 | L12会議室 |
内容 | ウイルスは自身の代謝系や翻訳装置を持たず、コードする遺伝子の数はわずかである。にもかかわらず、宿主の因子を駆使して自らの遺伝子を効率よく翻訳し、宿主細胞内で複製する。私たちはこれまでに、植物に感染するウイルスRed clover necrotic mosaic virus (RCNMV)をモデルウイルスとして用い、ウイルスの複製や遺伝子発現の制御メカニズムについて明らかにしてきた。RCNMVのゲノムRNAはウイルス複製の鋳型となるだけでなく、mRNAとして翻訳の鋳型となる。RCNMVのゲノムRNAには、宿主である真核 生物のmRNAの翻訳に必須なRNA因子であるキャップ構造やポリA配列が存在しない。また、複数の遺伝子が1本のゲノムRNAから翻訳されるという特徴がある。本セミナーでは、ウイルス独自の遺伝子発現制御機構の中で、1本のmRNAから2つのタンパク質を翻訳する機構であるフレームシフト翻訳機構、ならびにキャップ構造に依存しない翻訳開始機構に焦点を当て紹介するとともに、今後の展開についても述べたい。 |
問合せ先 | 構造生物学 箱嶋 敏雄 (hakosima@bs.naist.jp) |