セミナー情報
細胞内でタンパク質の発現限界を決める要因は何か?
演題 | 細胞内でタンパク質の発現限界を決める要因は何か? |
講演者 | 守屋 央朗 博士(岡山大学・異分野融合先端研究コア) |
使用言語 | 日本語 |
日時 | 2015年6月17日(水曜日) 14:30~15:30 |
場所 | 大セミナー室 |
内容 | 数千から数万のタンパク質が協調的に働くことで細胞の生命活動は営まれている。細胞機能を最も効率よく営むために、それぞれのタンパク質の発現量は最適化されていると考えられている。一方、環境の変化や変異、遺伝子発現のゆらぎなどの摂動によりタンパク質の発現量が多少変動しても、細胞システムはロバストに対応して細胞の機能の破綻を避ける事もわかっている。細胞システムのロバストネス(頑健性)を超えてタンパク質発現が変動すると、細胞の機能に様々な悪影響を及ぼすことが知られているが、どのようなタンパク質がどれくらいの発現変動を起こすと細胞の機能が破綻するのか、またその一般的な背景原理はほとんどわかっていない。私たちはこれまでに酵母を真核細胞のモデルとして、それぞれのタンパク質の細胞内での発現限界をその遺伝子の限界コピー数として測定する「遺伝子つなひき法」を開発し、出芽酵母のタンパク質の発現限界を調べてきた(Moriya et al., PLOS genet. 2006, Moriya et al., Mol. Systbiol. 2012など)。本口演では、細胞内でタンパク質の発現量の限界を決める要因について、変異を導入したり局在化シグナルを付加したりしたモデルタンパク質GFPを用いた解析や、解糖系の酵素群を中心にした最近の私達の研究を紹介する。さらに、その中で見えてきたタンパク質の発現限界を決める一般的要因である酵母細胞のタンパク質合成キャパシティ、タンパク質局在のキャパシティならびに化学量不均衡等について解説する。 |
問合せ先 | システム微生物学 森 浩禎 (hmori@gtc.naist.jp) |