セミナー情報
細胞の協調的な振る舞いを利用した器官形成メカニズム
演題 | 細胞の協調的な振る舞いを利用した器官形成メカニズム |
講演者 | 松井 貴輝 博士(奈良先端科学技術大学院大学バイオサイエンス研究科 助教) |
使用言語 | 日本語 |
日時 | 2015年2月18日(水曜日) 16:30~17:30 |
場所 | L12会議室 |
内容 | 脊椎動物の発生において、生命維持に必要な器官は、発生プログラムに従い正確に形づくられる。それぞれの器官では、前駆細胞が自律的に集合して協調的に振る舞うことで、シート、球、管など、一定の大きさの基本パターンが構築される。 しかし、「多くの細胞はどのようにして協調的に振る舞うのか?」、「器官のサイズはどのように決まるのか?」については、未解決な問題として残っている。これまで私たちは、マウスやゼブラフィッシュをモデルとして、繊維芽細胞増殖因子関連因子の機能解析を行い、等間隔パター ンの形成や細胞の自律的な集団形成のしくみを明らかにしてきた。さらに最近、ライブイメージング、レーザー工学などの手法を含めた解析を行い、器官の大きさは、細胞の協調的な振る舞いによって生み出された「シグナルの時空間ダイナミクス」や「細胞数感知システム」によって規定されることを見いだしてきている。 今後、これらの研究をさらに発展させることで、器官形成の基本原理の理解や再生医学への貢献につながると考えている。 【参考論文】 1. Akiyama, Masuda, Tsuge, Bessho, Matsui* Development, 141: 1104‐1109 (2014) 2. Retnoaji, Akiyama, Matta, Bessho, Matsui* Development, 141: 158‐165 (2014) 3. Tahara, Bessho, Matsui* Int. J. Mol. Sci., 14: 18009‐18023 (2013) 4. Matsui*, Sasaki, Akazawa, Otani, Bessho Development, 139: 3553‐3560 (2012) 5. Matsui*, Thitamadee, Murata, Kakinuma, Nabetani, Hirabayashi, Hirate, Okamoto, Bessho Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 108: 9881‐9886 (2011) 6. Hayashi, Shimoda, Nakajima, Tsukada, Sakumura, Kim Dale, Maroto, Kohno, Matsui, Bessho* PLoS One, 4:e5603 (2009) *Corresponding author |
問合せ先 | 構造生物学 箱嶋 敏雄 (hakosima@bs.naist.jp) |