セミナー情報
植物の膜交通 〜その多様化と高次機能発現における役割〜
演題 | 植物の膜交通 〜その多様化と高次機能発現における役割〜 |
講演者 | 上田 貴志 博士 (東京大学大学院理学系研究科 准教授) |
使用言語 | 日本語 |
日時 | 2014年11月14日(金曜日) 16:00~17:00 |
場所 | 大セミナー室 |
内容 | 真核生物の細胞内には,原核細胞の共生により獲得されたミトコンドリアや色素体に加え,ホスト細胞の細胞膜から派生したと考えられる小胞体,ゴルジ体,多胞体,液胞/リソソームなどの単膜系細胞小器官が多数存在している。これらの単膜系細胞小器官は,小胞または小管を介した物質輸送機構,“膜交通”により結ばれており,互いに物質や情報のやりとりをおこなっている。膜交通は,オルガネラ機能の発現や細胞内外の情報のやりとりに不可欠な,全ての真核細胞に普遍的に存在する生命現象である。そこで機能する分子についても,多くのものが真核生物に共通に存在しており,膜交通の基本的な仕組みが原始真核細胞において既に獲得されていたことがうかがえる。 一方,真核生物の各系統はそれぞれ独自の進化を遂げ,多様な体制や独自の生理現象を獲得している。例えば植物の液胞は,タンパク質および糖の貯蔵や空間充填,膨圧の発生などの特有の機能を有しており,それらが植物の多彩な生命現象に深く関わっていることが知られている。では,植物に特有のオルガネラ機能や生命現象の獲得に,膜交通の多様化や進化はどのように関わったのであろうか。我々は,植物において膜交通がいかに多様化し,それが植物の形質とどのように関連しているのかを明らかにするべく研究を進めている。本セミナーでは,細胞壁の構築や液胞の機能と膜交通の関連について,最近の知見を紹介したい。 |
問合せ先 | 植物代謝制御 出村 拓 (demura@bs.naist.jp) |