セミナー情報
感覚器におけるモザイク様の細胞パターンを制御する分子機構
演題 | 感覚器におけるモザイク様の細胞パターンを制御する分子機構 |
講演者 | 富樫 英 博士(神戸大学大学院医学研究科・分子細胞生物) |
使用言語 | 日本語 |
日時 | 2014年6月5日(木曜日) 16:00~17:00 |
場所 | L13会議室 |
内容 | 聴覚に重要な内耳蝸牛管の聴覚上皮では感覚細胞と支持細胞という二種類の細胞が互い違いに並び市松模様状の細胞パターンを示す。しかし、このような特徴的な細胞パターンを制御する分子機構はこれまでに明らかにされていなかった。聴覚上皮の感覚細胞と支持細胞では免疫グロブリン様の細胞接着分子ネクチン-1と-3がそれぞれ相補的に発現しており、これらが2種類の細胞間でヘテロフィリックに相互作用する。また、ネクチン-1と-3のそれぞれのノックアウトマウスの聴覚上皮では、本来は決して見られない感覚細胞同士の接触等の細胞パターンの異常が観察された。ネクチンは、ホモフィリックにもヘテロフィリックにも相互作用するが、ヘテロフィリックな相互作用の方が強い。ネクチン-1あるいはネクチン-3を発現する細胞を作製し混合培養したところ、二種類の細胞は自らモザイク様の細胞選別を示した。これらの結果から、ネクチン-1とネクチン-3のヘテロフィリックな相互作用によって聴覚上皮における市松様の細胞パターンが形成されることが明らかになった。本セミナーでは、嗅上皮で見られる細胞パターンの形成機構についても、最近の知見を紹介したい。 |
問合せ先 | 遺伝子発現制御 別所 康全 (ybessho@bs.naist.jp) |