セミナー情報
移動する細胞の同期ダイナミクス
演題 | 移動する細胞の同期ダイナミクス |
講演者 | 瓜生 耕一郎 博士(理化学研究所 発生・再生科学総合研究センター) |
使用言語 | 日本語 |
日時 | 2013年3月29日(金曜日) 13:30~14:30 |
場所 | 大セミナー室 |
内容 | 生物の形態形成において細胞移動と細胞間相互作用は重要な役割を果たす。多くの場合にこの二つは同じ時間スケールで起き、互いに影響を及ぼし合うと考えられる。細胞移動が細胞間シグナルに与える影響を調べるため、我々は脊椎動物の体節形成過程に注目している。本セミナーでは、未分節中胚葉組織で観察される細胞移動が体節時計の同期に及ぼす影響について議論する。 脊椎動物の体節形成では、未分節中胚葉組織の細胞で遺伝子発現の振動が観察される。細胞はDelta-Notchタンパク質を介した相互作用によって隣接している細胞と振動の位相を同期させる。さらにこれらの細胞は組織中を移動し、時間とともに相互作用する相手を入れ替える。我々は細胞移動が遺伝子発現の振動の同期に与える影響を解明するため、数理モデルによる解析を行ってきた。シミュレーションの結果、細胞移動は体節時計遺伝子発現の同期を促進することが分かった。これは細胞が移動することで相互作用できる範囲が広がり、その結果同期が起こりやすくなったと解釈することができる。これを確認するため位相振動子モデルをもちいて数理解析を行ったところ、細胞の相互作用範囲は移動率の平方根で広がっていくことが分かった。これらの理論解析の結果は、体節時計の同期を理解するためには未分節中胚葉での細胞移動を知る必要があることを示唆している。 |
問合せ先 | 遺伝子発現制御学 別所 康全 (ybessho@bs.naist.jp) |