NAIST 奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域

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細胞の極性を制御する遺伝子の組織、個体での機能の解明

演題 細胞の極性を制御する遺伝子の組織、個体での機能の解明
講演者 原田 彰宏 教授 (大阪大学医学系研究科 細胞生物学講座)
使用言語 日本語
日時 2012年11月2日(金曜日) 17:00~18:00
場所 大セミナー室
内容
抄録:
上皮細胞、神経細胞などの細胞極性は様々な組織の発生や機能に必須である。また癌 においては細胞極性の異常が見られるため、細胞極性の異常は癌などの様々な病気の 病態とも関係すると言われている。細胞極性の形成や維持には細胞内の極性輸送が必 須と言われるが、これまでの細胞内の極性輸送の研究は主に培養細胞を用いて行われ てきたため、組織・個体の発生、機能、病態における役割が不明だった。そこで我々 は極性輸送の、哺乳類(特にヒト)の発生、機能、病態の解明に役立てる目的で、極 性輸送関連蛋白のノックアウト(KO)マウスの作製、解析を行っている。
我々は既知の極性輸送関連遺伝子のうち、Rab8a,b, syntaxin3, VAMP7, SNAP23, PKD1,2, FAPP1,2, MAL2のKOマウスの作製は終了し、現在その解析を行っている。その 結果、VAMP7 KOマウスの解析から、VAMP7は過去の報告と異なり、上皮細胞や神経細胞 の極性形成やlysosomal exocytosisなどには重要でないことが判明した。また他のマ ウスについては、その表現型とヒトの病態との関連が見られるものがあるため、その 分子メカニズムの解明を更に進めている。更に我々は線虫を用いて新規の細胞極性に 関わる分子を同定し、そのKOマウスを作製している。本講演ではこれらのマウスにつ いて、現在まで得られている結果を報告する。

参考文献
Nature 448:366-369 (2007). Traffic. 12:1383-1393 (2011). J Clin Invest. 122:1052-1065, (2012).

問合せ先 神経形態形成学
稲垣 直之 (ninagaki@bs.naist.jp)

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